「紙は心で漉く」といわれます。この"漉く"という本当の意味は、
水をこすということだそうです。
日本人は紙をつくるという単なる一つの動作の中に、
非常にこまやかな意味を込めて"紙を漉く"といっています。
この紙を漉くという作業が、1400年もの長い間、
いやおそらく、それ以上の長い歴史を経ながら
日本という風土の中で伝えられてきたのです。
引手とは襖の開け閉めに欠くことのできないものです。
長い歴史の中で、形、色、材質とさまざまな意匠が施されてきました。
しかし、本来の目的から、決して離れることなく
現代に引き継がれているのは、引手が「実用の美」の
典型ともいえるからでしょう。
美術品ともいえる襖絵に、周囲の壁面から際立たせるために、
また、逆になじませるために、めぐらしたのが漆で塗られた縁でした。
洋画でいう額縁と全く同じ発想です。
もちろん本来の建具としての機能上の目的はいうまでもありません。
美的な面と機能的な面を同時に担う、それが縁です。